アクトファイブ部品洗浄機

炭化水素

炭化水素(たんかすいそ、英語:hydrocarbon)とは石油や天然ガスの主成分であり、石油化学工業の原料として今日では広く一般的に使用されています。

当設備で使用する炭化水素洗浄剤とは、精製された石油化学製品の一種でありガソリン等よりも純度が高いものになります。

炭化水素洗浄剤の脱脂溶解力は、塩化メチレン、トリクロロエチレン(TCE)等の塩素系溶剤、フロン・エタンや臭素と同等程度です。

炭化水素は上記の他溶剤と異なり、人体・地球環境に対して無害です。一部は食品添加剤や化粧品(口紅)の添加物としても使用されています。

一方で可燃性・難乾燥性といった点を設備で補うことが必要です。

バスケット(洗浄治具)

当設備で使用なバスケットには角バスケットと丸バスケットがあり、サイズは希望仕様に合わせて製作可能です。

T.C.E.(トリクレン)や塩化メチレン、臭素

T.C.E.(トリクロロエチレン) 有機塩素化合物の一種であり、脱脂力の大きさ、高乾燥性から1980年代まで洗浄に広く用いられていたが、発癌性の指摘があったことから代替物質への移行が進みました。
日本では化学物質審査規制法により、1989年に第二種特定化学物質に指定された。国際がん研究機関の発がん性評価ではグループ 2A の「おそらく発がん性を持つ」物質として規定されている。
腎臓がん、生殖機能および発育への障害、神経障害、自己免疫疾患を引き起こす可能性があることも報告されています。
塩化メチレン 有機塩素化合物の一種であり、T.C.E.同様に脱脂力の大きさ、難燃性から以前は広く洗浄に使用されていました。
環境負荷とヒトへの毒性の懸念からPRTR法(Pollutant Release and Transfer Register:化学物質排出把握管理促進法)により利用と廃棄が監視される物質でもある。作業環境の管理濃度は、50ppm
肝機能障害を引き起こすことで知られています。
臭素 有機臭素化合物の一種であり、塩素系溶剤と同様の脱脂力・乾燥性と不燃性です。
一方で、環境負荷が塩素系溶剤よりも小さいとされていることから、塩素系溶剤の代替として使用されています。
現在特別な法的規制がありませんが、ヒトへの毒性に関して塩素系溶剤よりも強いとの懸念があり、日本産業衛生学会発行「許容濃度等の勧告 (2012)の概要 」において、1-ブロモプパンの暴露基準を0.5ppmとする提案が出ています。(トリクロロエチレンの暴露基準は25ppm)

リサイクルマシン(再生器)

弊社リサイクリングマシンは再生器と蒸気発生器の2役を1台でまかないます。

熱媒体油を使用した間接加熱を行うことで発火の危険性を抑えています。また電気ヒーターの過加熱検知等の安全管理も徹底しています。

再生器内部構造は石油プラントと同様の多段式蒸留方法を採用しており、内部で数回の蒸留再生を行うことでより高品質の蒸留精製を実現しています。

さらに再生器内部に減圧をかけて加工油が蒸発しない温度での蒸留を行います。結果として、加工油の共沸を防止した高い蒸留品質を実現しています。

真空洗浄

真空洗浄とは、蓋を閉めた洗浄槽から槽内の空気を吸い出し、真空引き(減圧)下にて洗浄を行う方法です。

小さいワークや、袋穴の空いた製品の場合、表面張力の影響により内部に溶剤を浸透させることが非常に難しいとされています。

真空引きを行うと、空気は通常気圧時と比べると約20倍の大きさに膨張しますので、穴の内部の空気は膨張してあふれた分から出ていきます。

その後、大気圧解放を行い通常気圧に戻すと空気は収縮し約20分の1の体積まで戻り、それまで空気が溜まっていた穴(空間)に炭化水素を中に引き込む事が可能になり溶剤が内部で汚れと混ざります。

再度真空引きを行うと汚れが混ざった炭化水素は空気により押し出され、大気圧解放によりきれいな炭化水素をまた引きこむこととなります。

この真空引き→大気圧解放を繰り返すことで、通常洗浄が困難な穴の空いた製品の洗浄が可能になります。

※キャップ形状の場合、上向き・横向きにおくと空気が全て出て行く →下向きだと真空状態で空気がポンプの役割を果たし、汚れを排出+液の引き込みにより底まできれいに洗浄できます。

超音波

キャビテーションを発生させ、物理的な圧力波により物体の表面から汚れを落とす働きがあります。

振動子により発生したキャビテーションは、気泡が消滅する瞬間に中心に向かって収縮をおこない強い圧力波を発生させます。

液体中では、この圧力波が周りの液体をワーク表面にたたきつける物理力によりワーク表面の汚れを剥離させます

蒸気洗浄

蒸気洗浄とは、真空引き(減圧)下で、洗浄槽で落としきれなかったワーク表面の小さな汚れや油が溶け込んだ洗浄剤を、蒸留再生器で分離再生された清浄な炭化水素の蒸気により仕上げ洗浄を行うことです。

同時にワークを加温し、次工程の真空乾燥にて炭化水素が乾燥可能な温度(約100℃)まで加温します。

真空乾燥

真空乾燥とは、前工程の蒸気洗浄に充分加温されたワークを真空引き(減圧)下におくことで、ワークの自熱により急速に蒸発させる(突沸乾燥)方式です。

温風乾燥方式に比較して短時間でムラなく炭化水素を乾燥させることが可能であり、ワーク表面へのシミ残りを防ぐ効果もあります。

工程詳細


洗浄設備に投入されるワークは最初に洗浄槽にて真空超音波洗浄を行います。次に乾燥槽にて蒸気洗浄・真空乾燥を行います。

洗浄槽内の加工油が混ざっている汚れた洗浄剤は、リサイクルユニット(蒸留再生器)に送られます。

蒸留再生器に送られた汚れた洗浄剤は、蒸留釜内で煮沸することで炭化水素のみを分離再生します。

蒸留後のきれいな炭化水素は、コンデンサーを通して洗浄槽に戻るものと、蒸気のまま蒸気洗浄に使用されるものとにわかれます。

自社製のサーボローダー

サーボモータは任意の場所での位置決めが可能であり、槽間のピッチを最短にすることができ、洗浄設備自体のコンパクト化が可能です。

従来のギアードモーター+エアシリンダ方式に比較して、精密・正確な動きを実現可能であり、部品点数が少なく、芯出し調整等のメンテ性も良好です。

また加減速や移動速度、待機時間などが任意に設定可能なため、傷つきの心配なワークや液切りの必要な場合もさまざまに動作をプログラムできます。

※オプション類詳細

超音波 物理的な力(キャビテーション)により洗浄性をアップ
揺動・回転機構
(洗浄槽)
バスケットを揺動・回転させることは、超音波の当たりムラと洗浄液の接液ムラの抑止効果をもたらします
濾過機構 洗浄槽内を浮遊するコンタミをフィルターにより除去
回転・スイング機構
(乾燥槽)
静止した状態では乾きにくいワークの乾燥を促進
自動煮詰排液機構 蒸留器に持ち込まれた汚れた洗浄液の煮詰後、併設の廃液タンクに自動で排液。冷却後に廃液タンクより排液することでより安全に処理可能
可燃性ガス濃度計 炭化水素洗浄剤が配管・タンク等から液漏れした場合に一定濃度のガスを検知
自動消火装置 出火した場合に自動で消火剤(粉末/CO2)を設備内に噴射
冷却ファン 乾燥終了後のワークを設定された時間冷却
リターンコンベア In/Outコンベア間を接続するコンベアであり、洗浄前後のバスケットの移動が不要

蒸留再生

蒸留とは、混合油を一度蒸発させ後で再び凝縮させることで沸点の異なる成分を分離・濃縮する工程です。

共沸しない混合物であれば、蒸留により単離・精製することが可能です。

持ち込まれた汚れた洗浄液は炭化水素のみが蒸発する温度で加熱することで炭化水素のみを分留再生します。

多段蒸留方式

高さの違う蒸留皿で数段階に分けて蒸留再生を繰り返す構造となっており、低沸点で「共沸」しやすい油もより効率よく精密に分離することができます。

またこの技術のおかげで装置形状も縦長でフロア面積をコンパクトにすることができます。

さらに、新設計の蒸留皿により従来の2倍の油分濃度のダーティ液からも同品質での再生が可能になりました。

既存のシステムへの組み込み

既存の洗浄設備をお持ちのお客様の場合、洗浄槽にIn/Outの繋ぎ込み常時洗浄液の再生を行うことで、洗浄槽内の液清浄度を一定に保つことができ洗浄品質の安定に貢献します。

炭化水素のみを洗浄剤として使用されているお客様の場合、使用済みの洗浄剤をリサイクルユニットで再生させれば再度洗浄に使用することが可能であり、全体の使用量の減少⇒ランニングコストの低減に繋がります。

お使いの炭化水素洗浄剤と加工油をお知らせいただければ、弊社にて再生可能か検討させていただきます。

真空超音波洗浄

真空超音波洗浄とは、前述の真空洗浄に超音波を組み合わせた洗浄方法です。

洗浄液の空気を吸い出し脱気状態とする真空洗浄との組み合わせにより、超音波洗浄の効果はそれ単体で行う洗浄効果より飛躍的に高まります。

コンベア

チェーン駆動式コンベア、電動モーターローラー式、トップローラーチェーン式、フリーローラー式、スライド台車式があります。

使用されるバスケットにより最適なコンベアタイプを選択します。